障害者差別解消法について
障がいを理由とする差別の解消を推進することにより、すべての国民が障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指し制定されました。
国の行政機関や地方公共団体等及び民間事業者による「障がいを理由とする差別」を禁止するとともに、それを社会において実効的に推進するための基本方針や指針の策定等の措置や、相談・紛争解決の体制整備等の国や地方公共団体における支援措置について定めています。
法律の公布・施行
公布日:平成25年6月26日
施行日:平成28年4月1日(令和6年4月1日 改正法施行)
法律の概要
この法律では、主に次のことを定めています。
- 国の行政機関や地方公共団体等及び民間事業者による「障がいを理由とする差別」を禁止すること。
- 差別を解消するための取組について政府全体の方針を示す「基本方針」を作成すること。
- 行政機関等ごと、分野ごとに障がいを理由とする差別の具体的内容等を示す「対応要領」・「対応指針」を作成すること。
また、相談及び紛争の防止等のための体制の整備、啓発活動等の障がいを理由とする差別を解消するための支援措置について定めています。
※富良野市は、障害者差別解消法に基づき、富良野市職員対応要領を定めるとともに、職員研修等により障がいを理由とする差別の解消に係る理解の促進に努めています。
富良野市における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領(600KB)
国民、行政機関等、事業者の責務
令和3年に障害者差別解消法が改正され、事業者による障がいのある人(手帳の有無に限らない)への合理的配慮の提供が義務化されました。
合理的配慮の提供
具体的には、 1.行政機関等と事業者が、 2.その事務・事業を行うに当たり、 3.個々の場面で、障がい者から「社会的なバリアを取り除いてほしい」旨の意思の表明があった場合に 4.その実施に伴う負担が過重でないときに 5.社会的なバリアを取り除くために必要かつ合理的な配慮を講ずることとされています。
合理的配慮の提供に当たっては、障がいのある人と事業者等との間の「建設的対話」を通じて相互理解を深め、共に対応案を検討していくことが重要です(建設的対話を一方的に拒むことは合理的配慮の提供義務違反となる可能性もあるため注意が必要です)。
合理的配慮の具体例
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視覚障がいのある方
弱視のため商品をタブレットで撮影・拡大して確認したいのだが、店内での撮影は禁止されている。
⇒視覚障がいを補うための撮影は認めることとした。 -
盲ろうのある方
飲食店に入ったが、混雑状況や空席状況が分からない。店員が声をかけてくれても聞き取れないことがあり、困ってしまう。
⇒店員がそばまで行き、手のひらに「〇(空席がある)」か「×(空席がない)」かを指で書いてお知らせした。
また、空席がある場合には、店員がそこまで案内した。 -
聴覚・言語障がいのある方
飲食店では、メニュー表への指差しで注文しているが、細かい希望(量や麺類の茹で加減、味付け等)を伝えることが難しい。
⇒筆談ボードを使うことによって、店員が聞けるようになり、他のお客さんと同じように細かい注文にも対応できるようになった。 -
肢体不自由のある方
申込書類に自分で記入することができず、同行者もいないので、店員に代筆してほしい。
⇒十分に本人の意向を確認した上で、店員が代筆による記入を行った。
この際、記入内容について後で見解の相違が生じないように他の店員が立ち会った。 -
内部障がい、難病に起因する障がいのある方
難病が原因で身体障がいがあり、カウンターが高く、立った姿勢を保つのが難しいので、座ったまま(低いカウンター)で手続をしたい。
⇒窓口のスタッフが待合室の座席に行き、手続を行うこととした。 -
知的障がいのある方
イベント会場において、知的障がいのある子供が、発声やこだわりのある行動をしてしまう。
⇒会場のスタッフが母親から、子供の特性やコミュニケーションの方法等について聞き取り、落ち着かない様子のときは個室に誘導するなどの対応をした。 -
重症心身障がいのある方
車いすがリクライニングタイプのため、スーパーの会計時にレジに並ぶこともレジ横を通ることも難しい。
⇒レジにおいて、会計の順番が来るまで店員は買物かごを預かり、順番になった時に声をかけるようにし、それまで広いところで待てるよう配慮した。 -
精神障がいのある方
大勢の人がいるところでは、どうしても周囲が気になってしまい落ち着かず、待合室での順番待ちが難しい。
⇒別室の確保が困難であったため、待合室の中で、比較的周りからの視界が遮られるようなスペースに椅子を移動させ、順番待ちできるよう配慮した。 -
発達障がいのある方
文字の読み書きに時間がかかるため、セミナーへ参加中にホワイトボードを最後まで書き写すことができない。
⇒書き写す代わりに、デジタルカメラ、スマートフォン、タブレット型端末などで、ホワイトボードの写真を撮影できることとした。
合理的配慮の提供における留意点(対話の際に避けるべき言葉)
- 「先例がありません」
→ 障害者差別解消法が施行されており、先例がないことは断る理由になりません。 - 「特別扱いできません」
→ 特別扱いではなく、障がいのある人もない人も同じようにできる状況を整えることが目的です。 - 「もし何かあったら」
→ 漠然としたリスクでは断る理由になりません。
どのようなリスクが生じ、そのリスク低減のためにどのような対応ができるのか、具体的に検討する必要があります。 - 「その障がい種別ならば」
→ 同じ障がい種別でも程度などによって適切な配慮が異なりますので、一括りにしないで検討する必要があります。
※全盲(視覚的な情報を全く得られない状態等)/弱視(視覚的な情報をほとんど得られない状態等)、ろう(補聴器等をつけても音声が判別できない状態等)/難聴(残存聴力を活用してある程度聞き取れる状態等)等
障がいのある人もない人も、お互いにその人らしさを認めながら共に生きる社会の実現に向け、市民のみなさまもどのような取組ができるか、一緒に考えていきましょう。
詳しくは下記参考リンクをご覧ください。