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2章・中心市街地の現状と課題

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1.中心市街地の現状

(1) 人口、世帯数

人口の増減を昭和45年当時と比較すると周辺市街地は180%増加しているにもかかわらず、中心市街地の人口は44%もの減少となっており、最近10年間でもそれぞれ11%の増加に対し、7%の減少となっている。

(2) 土地利用現況

用途地域指定状況は富良野駅周辺に商業地域、相生通、東5条通沿いに近隣商業地域、その他の地区に第1種住居地域が指定されている。

(3) 建物用途別現況

建築物の用途別状況をみると、建築面積では住宅が35.7%、商業31.4%を占めている。延床面積では商業39.7%、住宅、36.8%を占めている。

(4) 公共公益施設等分布状況

中心市街地に立地する公共公益施設は、官公庁施設5、金融機関7、教育施設3、文化施設3、交通施設3、医療施設1、(大型)店舗施設3、保健福祉施設3となっている。

(5) 道路現況

中央通、東5条通、相生通、朝日通などの都市計画道路は幅員18メートル以上の片側1車線で歩道が整備され、東5条通については、街路灯の設置やインターロッキング舗装等の景観整備や融雪装置の設置が行われている。

(6) 駐車場現況

公共駐車場について、中心市街地内には5ヶ所の公共駐車場が整備されている。
JR富良野駅に隣接する「朝日町駐車場」は約80台収容でき、観光客を中心に利用されているほか、中央通沿いに「若松町駐車場」(約50台収容)、商工会議所周辺に2ヶ所(約42台)、駅東側に「駅東側広場駐車場」(約25台収容)が整備されている。

(7) 駅前広場現況

JR富良野駅前は、タクシーや自家用車の乗降のほか、通過交通が輻輳している状況にある。
バスターミナルについては各バス会社のバスターミナルが分散している。

(8) 商業施設の立地状況

中心市街地ではJR富良野駅周辺、相生通、中央通、東5条通を中心に商業施設が立地している。
大規模小売店舗は相生通沿いに三番館、Aコープ本店の2店舗、東5条通沿いにラルズ富良野店の1店舗が立地している。

(9) 空き地・空き店舗の状況(平成13年1月現在)

中心市街地に分布する空き地は4ヶ所であり、これらは駐車場として利用されている。
また、空き店舗は16店舗となっている。

(10) 消費者・住民アンケート

平成11年12月に中心市街地を利用する消費者・地域住民に対し調査用紙を配布・回収によりアンケートを実施し回収数は409人であった。

結果の概要

  • 中心市街地商店街の良いところについては特にないという意見が半数を占め、買い物が便利である30%、公共的施設が近くにあるが13%となっている。
  • 中心市街地の問題点については、魅力ある店や施設が少ない(58%)、駐車場が少ない(58%)、まちに活気がない(56%)の項目で50%を超えている。
  • 中心市街地でこれから充実させるべき施設は、近代的な魅力ある店(46%)、公衆トイレ・休憩スペース・広場(44%)、買物駐車場(44%)の項目で4割を超えて高くなっている。
  • 中心市街地商店街活性化のための改善すべき点は空き店舗・空き地の活用(59%)、駐車場の設置・拡張する(47%)のスペースに関する項目で高い。その他では魅力ある店舗や施設を取り入れる(45%)、共同店舗づくりを進める(25%)といった店舗に関する項目も高い。
  • 中心市街地の活性化を進めるために特に力をいれるべき事業は、駐車場の整備が52%と最も高く、既存の商店街の街並み整備(41%)、駅周辺の再開発(32%)が続いている。
  • 回答者が日常的な買物をするときに行く店は大型スーパーが87%と圧倒的に高くなっている。またコンビニエンスストアという意見も26%となっている。
  • 買物の交通手段は自家用車が68%と圧倒的に高くなっている。

(11) 商店街アンケート結果

平成11年12月に中心市街地商店街の各個店に対し調査用紙を配布・回収によりアンケートを実施し回収数は122件であった。

結果の概要

  • 商業者の業種構成は医療品・織物・身回品13%、飲食良品12%、その他小売業が19%と小売業が多い。
  • 経営者の年代構成は50代が43%と最も多く60代が27%と続いており、30代、40代が少ない結果となっている。
  • 個店の来客数の動向は減少(35%)、微減(21%)、激減(13%)で69%が減少しており増加は8%と少ない。
  • 主な客層は、中高年層が67%と圧倒的に高くなっている。若者層は18%と少ない。
  • 経営上の問題点は売上げ減少が63%、利益率の低下が43%と売上げ、利益に関する項目で高くなっている。また駐車場の不足をあげる人も43%と高い。
  • 後継者が決まっている(21%)に対し後継者については後継者が決まっていない(34%)、自分の代でやめる(34%)、後継者なし(7%)と今の状況だと現在の店舗がなくなる可能性が高い店が多い結果となっている。
  • 将来の営業の意向は現在地で営業したいが66%と多くなっている。またやめたいと考えている店も15%となっている。
  • 駅前地区等での再開発・建物の共同化の事業への参加意欲については、条件による(24%)、参加したい(16%)と合わせて40%が参加意欲があるのに対し、51%が現在のままで良いと考えているという結果となった。

2.中心市街地活性化上の課題

(1) 少子高齢化の急激な進展

  1. 人口の流出・高齢化
    昭和45年から平成13年までの人口・世帯数の変化を見ると市内全体では4,598人の減少(14.9%)であり、市街地では周辺部が7,188人の増加 (180%増)であるのに対し中心市街地の大部分が入る町内では4,810人の減少(44%減)となっており、典型的なドーナツ化現象が現れている。
    また、若年人口の郊外居住などにともない、高齢化も急速に進んでおり、中心市街地地区は、平成13年1月時点で21.0%となっている。
  2. 高度医療機関充実の必要性の高まり
    市街地における高度医療機関として、北海道社会事業協会富良野病院がある。高齢化が進む中では高度医療に対する需要は量と質共に高まると想定される。また車等の交通手段がない高齢者・障害者にとって、公共交通機関及び徒歩でいくことのできる中心市街地内に医 療機関は必要であると想定される。

(2) 地域産業活性化の必要性の高まり

  1. 売上高の減少・空店舗の増加・店舗の郊外への移転
    人物の流れの変化により、中心市街地から国道沿道等へ移転する店も少なくなく、その結果、まち全体での販売額等、売場面積が上がっているにも関わらず、中 心市街地においては、商店対象に行ったアンケート結果より、経営上の問題として、売上げ減少としている商店が63%と高い。さらに商売を辞める店舗が多くなり、空地・空店舗が発生した。それがさらなる街の魅力の低下や来客者の減少につながり、さらなる空店舗の増加要因となっている。特に、第2種大規模店舗 であった国井の倒産やNTTの統廃合などによる大規模な空店舗が発生しており、商業等の上で深刻な問題となっている。
  2. 分散する商店街・魅力アップが求められる街なみ
    中心市街地の商店街は、相生通、東五条通、中央通等の通り沿いに分散して形成され、総延長にすると1キロメートル以上の範囲にわたっており、歩いて買物がしやすい環境とは言い難く、また駐車場や駐車帯などの配置も機能的ではないため、車利用者にとっても買物がしやすいとはいえない。
    また、中心商業地とし ての中心核も意識しずらい状況にあり、さらに、「店舗や商店街の魅力・個性に乏しい」「商店街のPRや情報が不足」「協調性が無い」「入りたくなるお店が 少ない」「ふらのらしさが感じられない」などの指摘に代表されるように、商店街における街なみの魅力が不足しているなどの問題もある。
  3. 後継者問題などを抱える個店と相互の連携不足
    各個店においては、後継者や資金の確保、活性化のためのノウハウ獲得といった多くの事項の問題を抱えている状況にあると同時に、活性化にむけての各店舗間・各商店街間の連携は十分とはいえない状況にある。
  4. 地域(観光・農業等)との連携不足
    本市の主要産業は観光と農業で、観光については、年間200万人を越す観光客の入込み、農業については、農作物で182億円、畜産で22億円の粗生産高 (平成10年、農業水産統計)であるが、中心市街地においての観光施設との交通・システム・情報等上の連携、地元農産物を販売する地産地消による農業と商 業の連携、地元農産物を活用した飲食店、物産店等の農業と観光の連携が十分には図られておらず、本市のもつ高い観光ポテンシャルを十分に活用できていない。

(3) 各種交流機会の不足

  1. 若年層(学生)の地域社会への参加機会の不足
    富良野において、学生が学習の一巻として、まちづくりに参加したり、地元の産業を体験する場が一部ではみられるようにはなったが、まだまだ参加数が多いとはいえない。また若年層が集まったり、活動する場がないのも現状である。
  2. ボランティア等の活動拠点不足
    ボランティア、リサイクルショップ、芸術等の活動拠点の場が不足している。個々に場所があるが、賃料等が高く一団体で維持することは難しい。また活動を起 こしたいと思っている人が活動拠点を見つけるのは難しい状況である。今後、いくつかの団体が協力するか、一つの法人により活動拠点を確保、管理、運営することが望まれる。

(4) 住環境・市街地環境の立ち後れ

  1. 分かりづらく交通弱者等への対応が必要な交通体系と観光施設等案内の不足
    中心市街地の交通網は、格子状に道路が整備されている。このことは、各街区へアクセスしやすい環境であるが、観光客など本地区を知らない方々にとっては、 同じ幅員の道路が均等に配置され、メリハリがないことから、わかりづらいといった指摘も受けている。また、バス停とJR駅、駐車場等が分散しており、交通 網とあわせて分かりづらい交通体系となっている。また、冬道対策や交通弱者への対応の遅れも指摘されており、十分安全とはいえない状況にある。
    さらに、中心市街地の観光施設等の案内も十分とはいえず、観光客の迷い運転等による事故等の原因になっているとの指摘がある。
  2. 狭隘な駅前広場
    現在の駅前広場は、通過交通があるのと同時に、歩行者・タクシー・駅利用の自家用車・運搬車輌等が輻輳している状況にある。特に、夏の観光シーズン時には、これらの輻輳状況が悪化し、本来の駅前広場の機能を大きく阻害している。
    また、現在の各バス会社のターミナルは分散しており、JRとバス間の乗り継ぎが悪い。しかしながら、駅前広場には各バス会社のターミナルの集約に必要なバスベイを確保する面積がない。(資料編35ページ)
  3. JR線東西市街地間の連絡不足
    これまでのJR線東西市街地間は、JR線で分断されており、最短距離でアクセスできる道路がなかった。歩行者用の自由通路はあるが、自動車による移動はできず、連絡不足は解消されていない。
  4. 大規模駐車場不足とシステム不備
    現在の中心市街地における駐車場は、公共駐車場が5ケ所(約200台)整備されているが、いずれもメイン商店街である相生通、東五条通までは50から100メートル程度の距離があり、市民にとって利便性の高い駐車場とはなっていない。また、地区内の従業者や観光客の利用に対応した駐車場も十分ではなく、特に 協会病院周辺は多くの路上駐車が常時みられる。
    一方、本地区内には多くの空地が発生しており、任意に地区内の従業者駐車場として利用されているものも多く、公共施設の駐車場などは休日空いている状況にある。
  5. 公園・緑地の不足
    現在、中心市街地には富良野駅前公園、朝日町公園の2ケ所のみ整備されており、都市計画上の配置基準のみならず、地区住民の生活実感や都市計画マスタープ ランの将来像「まちごと公園に向けて」における富良野らしい豊かな自然を表現する景観づくりの上からも公園・緑地が不足している状況にある。
  6. 無頭川の下水道化と親水性の不足
    中心市街地にある無頭川は、現在都市下水路として機能しており、水質は悪い。また、堀割が深く、親水性は悪い状況にある。
  7. 暮らしの核装置(公的サービス施設、利便施設)の不足
    中心市街地は、商業・行政・文化の中心で、人々が交流する中心の場であるが、会議室、室内で行うイベントや各種作品の展示スペースとなるミニホールやスポーツ施設等の公的集客施設が不足している状況である。

(5) 中心市街地のイメージの変化

  1. 駅前における富良野らしさの不足
    多くの観光客が富良野駅を降り、西側の駅前広場に出たとき、北の国から資料館、ラベンダーショップを除くと、狭い駅前広場、大きな特徴のない街並みであることから、観光客等が富良野らしいという印象を持てない状況である。
  2. まちのテーマ性の不足
    富良野市にはへそ祭り等のイベント、ドラマ「北の国から」、ワイン、チーズとまちのテーマをもつ要素がたくさんある。
    しかし、市街地の街並みについては、通りや公共施設等にテーマ性がない状況である。

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