総合トップ暮らしの情報記事【シリーズ】基幹産業・観光を考える(第3回 富良野観光の現状と課題)

【シリーズ】基幹産業・観光を考える(第3回 富良野観光の現状と課題)

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第3回目は、「富良野観光の現状と課題」についてお知らせします。

平成28年度、本市を訪れた観光客はおおむね186万人で、そのうち54万人が宿泊しています。
宿泊延べ数は65万泊で、昨年度に比べて約10万泊減少しています。
また、宿泊客がどれだけ連泊したかを示す宿泊滞在率は一人当たり1.09泊と、ここ5年間でもっとも数値が低く、次のような課題が考えられます。

課題1 一年を通じて安定的に宿泊してもらえる観光地に

本市の観光は、季節によって宿泊客が大きく増減しています(資料:グラフ1)。

このような状況では、観光産業で必要な従業員すべてを年間通じて雇用(通年雇用)することは難しい状況です。

多くの観光客に来てもらうためには、観光地として、観光に携わる人材(施設従業員、ガイド、インストラクターなど)を確保・育成し、サービスの質を高めていかなければなりません。

そのためにも月別の宿泊延べ数の振れ幅をできるだけ小さく(平準化)し、安定した雇用環境をつくっていかなければなりません。
平成29年度までを計画期間とする「富良野市観光振興計画」では、年間宿泊延べ数の目標を70万泊と設定し、平成26年度、平成27年度の2年間は目標を達成しました。

今後は宿泊延べ数を平準化していくため、年間90万泊を12カ月で除した月平均7万5千泊を目標に掲げ、閑散期にアウトドアや食など、新たな魅力を生み出していく必要があります。

(グラフ1 観光入込数と宿泊延数)

観光入込数と宿泊延数のグラフ画像

課題2 再来訪してもらえる観光地に

富良野美瑛観光圏では、国から指定された全国13の観光圏(広域観光を振興する地域)と共同で、観光客に「満足度調査」を実施しています。

表 観光圏・顧客満足度調査
全観光圏平均より
富良野美瑛広域圏の満足度が高い項目
全観光圏平均より
富良野美瑛広域圏の満足度が低い項目
  • 総合満足度
  • 自然景観
  • 1年以内に再来訪したい
  • 食事
  • 宿泊施設

(注意)富良野美瑛の6市町村が調査対象

この地域の総合満足度は全観光圏平均を上回っていますが、平均と比較して低い項目があり、対策を講じることが不可欠です。
また、合わせて「今回の旅行で消費した金額」も調査し、平成28年度の観光旅行における一人当たりの平均消費金額は53,722円で、ここ数年の動向では夏の宿泊料金上昇の影響もあり、増加傾向にあります。

市内でたくさんお金をつかってもらうことは悪いことではありませんが、消費額が高額になればなるほど、「サービスへの期待度」も高まっていきますので、今後はサービスを充実させていくことが求められます。
事実、夏と冬の満足度を比較すると、冬よりも夏の方が低い傾向にあるので、夏の入込や宿泊者数を伸ばすことのみにとらわれず、しっかりとサービスの質を向上させていかなければなりません。
最近の観光は、団体から個人旅行が中心となり、求めるものは人それぞれ異なりますが、できるだけ多くの人の満足度を高め、再来訪(リピート)してもらえるよう、様々なニーズをくみ取りながら、再来訪客(リピーター)を増やす努力を積み重ねていかなければなりません。

リピーターを増やすには…

  • 食事や宿泊施設の満足度を高める取り組み
  • 季節ごとに目新しい「経験」プログラムを充実
  • 観光客が何を求めているのか(マーケティング)調査

課題3 観光消費による経済効果・付加価値を地域内で高める

リピーターを増やしていくためには、「観光でしっかり稼ぐ⇒稼いだお金をできるだけ地域内にとどめる⇒観光分野へ再投資するための財源を確保⇒人材を育成・確保し、次の観光戦略を実行⇒地域ブランドの価値を高め、さらなる誘客につなげる」というサイクルで各種事業を推進する必要があります。

こうした取り組みの「司令塔」となって指揮・管理する組織をDMO(ディーエムオー、観光地経営組織)と呼び、観光庁が日本版DMOの登録を行います。

平成29年11月28日付けで、一般社団法人ふらの観光協会が富良野美瑛地域の広域観光を担う「地域連携DMO」に登録されました。

来年6月には旧三番館跡にオープン予定の「コンシェルジュフラノ」を拠点に、本市の地域DMOの機能を担っていくため、市役所商工観光課・観光協会・商工会議所などが結集することになりました。
市内でお土産物として販売されている加工食品の製造地を確認してみると、市外で生産された商品が目立つようになりました。

富良野地域の農産物を地元で加工した商品や、旬の地元食材をつかった食事など、「地域内でつくられたものを消費する」機会を増やすことができれば、食の魅力や地域内の付加価値向上にもつながります。

そこで昨年度から「メイドインフラノ」事業を立ち上げ、現在、地域の農産物を活用し、市内で加工された食品を認定する制度を検討中しています。
その後、食・サービスなど他の分野の認定制度も順次進め、地域ブランドとしての魅力と価値を高めていきます。

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