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下水道ってなんだろう

1.川や海のよごれがひどくなっています

私たちは快適(かいてき)な生活をおくるために、昔にくらべてたくさんの水を使っています。
使われる水がふえると、捨(す)てられる水もふえてきます。

この使われた水をそのまま捨てると、よごれた水が家のまわりにたまり、悪臭(あくしゅう)を放(はな)ったりハエやカなどの害虫が発生(はっせい)したりして、身のまわりの環境(かんきょう)を悪(わる)くし、さらに、川や湖(みずうみ)や海をよごします。
すると、川や湖の水を飲(の)み水として利用することがむずかしくなったり、私たちのくらしに、さまざまな悪い影響(えいきょう)をあた与えます。

このような水をきれいにするためには、どうしたらよいのでしょう。
そうです、下水道をつくらなければなりません。では、下水道とは一体(いったい)なにか、調(しら)べてみましょう。

2.下水道の役割(やくわり)

下水道の役割は、19世紀(せいき)までは、下水道をつくることによって、雨水(あまみず)が低い(ひくい)ところにたまらないようにしたり、台所(だいどころ)や風呂場(ふろば)などから出るよごれた水を、すぐに川や海まで流すことが大事な役割でした。
また、西暦(せいれき)1810年に、水洗(すいせん)トイレが発明(はつめい)されてからは、私たちのくらしを住みやすく、快適(かいてき)にすることも、下水道の役割になりました。

さらに、下水道がよごれた水をきれいにするための処理施設(しょりしせつ)をそなえるようになると、私たちのまわりの川や湖や海を、きれいにするという役割も、持つようになりました。

今日(こんにち)の下水道がもつ役割には、次のようなものがあります。

  1. 私たちの生活環境をよりよくすること。
    • 私たちの家庭(かてい)や、工場などから出たよごれた水が、住宅(じゅうたく)のまわりにたまると、いやなにおいがしたり、ハエやカなどの害虫が発生したり、伝染病(でんせんびょう)の原因(げんいん)にもなります。
      下水道ができれば、そのようなことがなくなり、快適(かいてき)で衛生的(えいせいてき)な生活ができるようになります。
  2. くみ取り式トイレを水洗トイレにかえること。
    • 私たちのすまいで、し尿(にょう)(=ウンコやオシッコ)をくみ取り式トイレにためておくことは、衛生的(えいせいてき)ではなく、また、臭(くさ)いにおいがする原因となります。
      下水道を整備(せいび)し、トイレを水洗式(すいせんしき)にすることによって、し尿は下水管(げすいかん)の中をほかのよごれた水といっしょに運(はこ)ばれ、下水処理場(げすいしょりじょう)できれいにされるのです。
  3. 川や湖や海をきれいにすること。
    • よごれた水が、そのまま流れていくと、川や湖や海の水がどんどんきたなくなっていき、魚がすめなくなったりします。

下水道は、よごれた水を下水管に集めて運び、下水処理場(げすいしょりじょう)できれいにするので、川などの水をきれいにすることに、たいへん役立っているのです。

3.水の循環(じゅんかん)

川や湖(みずうみ)からくみ上げられた水は、私たちが生活して使われます。使われた水は、ふたたび川や海に流れこみます。

海の水は蒸発(じょうはつ)して、雲(くも)をつくり、雲は雨を降らせます。雨水は川や湖に流れこみ、そこから、また、水がくみ上げられます。
これを「水の循環(じゅんかん)」といいます。
下水道は、この水の循環の中で、よごれた水をきれいにしてから、川や海にもどすという大切な役割をもっています。

下水道がなければ、よごれたままの水が流れこんで、川や海はきたなくなり、きれいな水を使うことがむずかしくなります。

私たちの生活が豊(ゆた)かになるにつれて、使われる水の量は、だんだんふえていきますし、産業(さんぎょう)が発達すればするほど、多くの水が必要(ひつよう)になってきます。
しかし、水には限(かぎ)りがあり、大切に使わなければなりません。

ですから、一度使われた水をきれいにしてから川や海にもどすという下水道の役割は、これからの私たちの生活にとって、ますます大切になってゆくことでしょう。

下水道の歴史

歴史上、最も古い下水道は、今から約7,000年前(紀元前5,000年頃)にメソポタミアのチグリス・ユーフラテス河沿いにあったウル、バビロン、ニネヴェなどの都市に造(つく)られ、また、インダス文明の中心地モヘンジョダロなどにも下水道があったことがわかっています。
これらの古代の下水道は、その末端(まったん)が都市の区域外(くいきがい)まで延(の)びておらず途中に沈殿池(ちんでんち)を設け、最終的には地下浸透(ちかしんとう)させていたのではないかと言われていますが、この下水道は、汚水を処理するものではなく沐浴(もくよく)などの儀式(ぎしき)に使われた水のみを処理する施設ではないかと主張する学者もおり、本当のことはわかっていません。
一方、日本においては、弥生時代(紀元前300年から300年)に集落(しゅうらく)の周(まわ)りを溝(みぞ)で取りまいた環濠(かんごう)というものがありました。
基本的には、集落を守るためのものですが、上流からの水を受けて下流の必要な部分に放流していたと見られており、水田と連結していたと推定(すいてい)されています。
また、環濠は、治水(ちすい)や用水(ようすい)、さらには雨水を排除(はいじょ)するための排水路(はいすいろ)としての機能をもっていたと推定(すいてい)されます。

また、し尿については、どのように処分していたのかよくわかっていませんが、大陸の文化の影響(えいきょう)により、し尿を農耕(のうこう)に利用していたのではないかと言われています。
その影響(えいきょう)もあって、日本では昭和30年代頃まで、し尿は農作物の肥料として施肥されていました。
このため、し尿は「宝」といった感があり、便所はくみ取式でした。これが下水道の発達を遅らせる原因ともなりました。

歴史年表

「下水道」の歴史年表をひもとくと、次のようになります。

下水道の歴史年表
西暦 元号 できごと
BC5000 無し メソポタミアのウル、バビロン、ラガシュなどで下水道築造
BC3000 無し モヘンジョ・ダロ、カーリーバンガンなどの都市に下水溝、水洗便所築造
BC2900から2700 無し メソポタミアの都市が発達し、下水道築造
BC2000 無し クレタ島の宮殿に腰掛式水洗便所がつくられ、配水管に接続される
BC2000から1400 無し 中国河南省淮陽県平糧台で配水管築造
BC1100 無し 中国洛陽近郊の二里類で配水管築造
BC300から200 無し 秦の都威陽で五角形の管使われる
615年 無し ローマに下水道ができる
645年 大化1年 難波宮に排水溝築造
694年 持統5年 藤原京に排水溝築造
708年 和銅1年 平城京に排水溝築造
784年 延暦3年 長岡京に排水溝築造
1347年 貞和1年 全ヨーロッパでペスト流行
1370年 建徳1年 パリに最初の円天井の下水道構築
1492年 明応1年 アメリカに新大陸発見
1583年 天正11年 大坂城に堀割築造(太閤下水)
1606年 慶長11年 パリに最初の下水主幹線できる
1728年頃 享保13年 ベルサイユ宮殿に最初の水洗トイレを設置
1750年 寛延3年 セーヌ川に流入する開きょ式下水道築造
1760年 宝暦10年 イギリス産業革命
1810年 文化7年 イギリスの都市で水洗トイレが使われ始める
1842年 天保13年 ドイツのハンブルクに下水道ができる
1848年 嘉永1年 ロンドンで便所の下水道への接続を義務とする
1850年 嘉永3年 ロンドンでコレラ大流行
1858年 安政5年 アメリカのシカゴに下水道ができる
1873年 明治6年 東京銀座に下水管敷設(側溝を暗きょ化)
1877年 明治10年 コレラ流行
1881年 明治14年 横浜区で下水道築造(石造り馬蹄型管で底部は松坂)
1882年 明治15年 イギリスで微生物による下水処理実験
1884年 明治17年 東京府神田下水施工
1894年 明治27年 大阪市、上下水道改良事業開始
1895年 明治28年 大阪市、本田抽水所完成(わが国初のポンプ所)
1899年 明治32年 仙台市に下水道事業始まる
1900年 明治33年 下水道法施行規則制定
1908年 明治41年 名古屋市に下水道始まる
1914年 大正3年 イギリスに活性汚泥法による処理場ができる
1918年 大正7年 第1次世界大戦終戦
1922年 大正11年 東京三島汚水処分工場運転開始(わが国初の処理場)
1930年 昭和5年 名古屋市堀溜熱田処理場運転開始(わが国初の散気式活性汚泥実用化)
1934年 昭和9年 岐阜市わが国初の分流式下水道事業に着手
1945年 昭和20年 第2次世界大戦終戦
1948年 昭和23年 福井市で戦後初の公共下水道事業に着手
1958年 昭和33年 下水道法公布される
1963年 昭和38年 大事下水道整備5カ年計画
1964年 昭和39年 日本上下水道協会設立
1966年 昭和41年 流域下水道で初の処理場、猪名川流域基本法公布
1967年 昭和42年 公害対策基本法公布、第2次下水道整備5箇年計画
1970年 昭和45年 水質汚濁防止法制定公布
1971年 昭和46年 第3次下水道整備5箇年計画
1972年 昭和47年 下水道事業センター発足(現日本下水道事業団)
1975年 昭和50年 特定環境保全公共下水道事業の実施
1976年 昭和51年 第4次下水道整備5箇年計画
1981年 昭和56年 第二種流域下水道の創設、第5次下水道整備5箇年計画
1986年 昭和61年 第6次下水道整備5箇年計画
1991年 平成3年 第7次下水道整備5箇年計画
1996年 平成8年 第8次下水道整備5箇年計画

下水道のしくみと効果

1.下水道がきれいになるまで

私たちが家庭で使ったあとの汚(よご)れた水は、どのようにして、きれいな水となって川や海にもどされていくのでしょうか。

汚水(おすい)と雨水をあわせて「下水」と呼びますが、下水は、下水管(げすいかん)によって集められ、下水処理場(げすいしょりじょう)できれいにされます。

  1. 下水管(げすいかん)
    • 汚水や雨水は、下水管に流れこみます。
      下水管は、道路の下などに埋(う)められていて、下水を下水処理場まで運ぶ役目(やくめ)をしています。
      下水管には、掃除(そうじ)や検査(けんさ)、修理(しゅうり)をするためのマンホールが、ところどころにつけられています。下水を運ぶ方式には、合流式(ごうりゅうしき)と分流式(ぶんりゅうしき)の2種類(しゅるい)があります。
      • 合流式とは、汚水と雨水を同じ管(かん)で運ぶ方式です。
      • 分流式は、汚水と雨水を、それぞれ別の管で運ぶもので、汚水は下水処理場まで運ばれ、そこできれいな水に処理されますが、雨水は川などに直接流(ちょくせつなが)されるしくみになっています。
        富良野市は分流式の下水です。
  2. ポンプ場(じょう)
    • 下水管は、こう配(ばい)(=かたむき)をつけて埋(う)められており、下水が自然に流れて運ばれるしくみになっていますが、下水管を埋める場所が地面よりあまり深(ふか)くなりすぎると、下水管を埋める費用(ひよう)が高くなるばかりでなく、掃除や修理がやりにくくなります。
      そこで、ところどころにポンプ場を設(もう)けて、下水を浅いところにくみ上げ、下水を高いところから、ふたたびこう配によって、流すしくみになっています。
      また、ポンプの力(ちから)を利用して、低いところから高いところへ下水を送ることもあります。
      このように、ポンプ場を設けることによって、どのような地形(ちけい)のところでも、下水がすみやかに流れるように、下水管を埋めることができます。
      さらに、雨水を対象(たいしょう)とするポンプ場は、台風(たいふう)や大雨のとき、大量(たいりょう)の水をくみ上げて、すみやかに川や海に流し、道路(どうろ)や建物(たてもの)が水につかるのを防(ふせ)ぐ役割ももっています。
  3. 下水処理場(げすいしょりじょう)
    • 下水管やポンプ場を通って下水処理場に運びこまれた下水は、次のようないくつもの施設(しせつ)を通(とお)りぬけるあいだに、しだいにきれいな水に生まれか変わってゆきます。
    • 沈砂池(ちんさち):処理場に運ばれた下水は、まず、沈砂池と呼ばれる池にはいります。下水の中に含まれている大きなごみや砂(すな)は、この沈砂池で取り除(のぞ)かれます。(オキシデーションディッチ方式では設置されません)
    • 最初沈(さいしょちん)でん池(ち):大きなごみや砂を取り除かれた下水は、最初沈でん池にはいります。この池をゆっくりと流れていくあいだに、沈砂池で沈(しず)まなかった小さなごみや砂は、底(そこ)に沈んでゆきます。
    • エアレーションタンク:最初沈でん池を通った下水は、エアレーションタンクにはいります。バクテリアや原生動物(げんせいどうぶつ)のような微生物(びせいぶつ)の集まりを活性汚泥(かっせいおでい)といいますが、エアレーションタンクの中で下水に活性汚泥を混(ま)ぜて、空気をふきこみます。すると、活性汚泥と下水はよく混じりあいます。活性汚泥は、ふきこまれた空気中の酸素(さんそ)の助けをかりて、どんどん汚れをたべてゆき、時間がたつにしたがって、しだいに、大きなかたまりとなります。
    • 最終沈(さいしゅうちん)でん池(ち):エアレーションタンクで、大きなかたまりとなった活性汚泥は、この池で沈められます。ここまでを、二次処理(にじしょり)といい、汚れの約90パーセント以上は取り除かれ、下水はきれいになります。
    • 消毒施設(しょうどくしせつ):最終沈でん池の上(うわ)ずみ水(すい)を、消毒(しょうどく)してから川や海に流します。消毒には、ふつうプールなどにも使われている塩素(えんそ)が使われています。また、最近はオゾンという物資を使った消毒も行われています。
    • 高度処理(こうどしょり):次のような場合には、さらにきれいにするための高度処理を行うことがあります。
    • 放流する川に、サケやアユなど、清流(せいりゅう)を好(この)む魚がすんでいる場合には、この魚たちがいつまでもすめる川にしておくため、処理水の汚れをさらに取り除く必要があります。
    • リンやちっ素(そ)がふえてくると、湖のように水の流れが少ないところでは、プランクトンが多く発生し、魚たちに悪い影響をあたえたり、飲み水が臭(くさ)くなるため、放流前に処理水からリンやちっ素を取り除く必要があります。
    • 処理水を工業用水、農業用水などに、ふたたび利用(りよう)する場合には、利用目的(もくてき)に適(てき)した水にする必要があります。高度処理では、二次処理の終わった処理水に、さらに、ろ過(か)したり、さらに微生物を利用して、目に見えない小さな汚れや水に溶(と)けている成分(せいぶん)を取り除きます。
  4. 汚泥処理(おでいしょり)
    • 最初沈でん池や最終沈でん池で沈められた、汚れや微生物のかたまりを汚泥といいます。
      この汚泥は、かき集められた後(のち)、水分を減(へ)らし(=濃縮のうしゅく)、それ以上腐(くさ)らないように発酵(はっこう)させ(=消化しょうか)、水をしぼりとります(=脱水だっすい)。
      水をしぼりとられた汚泥は脱水汚泥と呼ばれ、その中には、もやされて(=焼却しょうきゃく)灰(はい)になるものもあります。
      脱水汚泥や灰は、埋めて処分されたり、肥料(ひりょう)や土(ど)じょう改良材(かいりょうざい)として、農地などにまかれたり、レンガやタイルの材料(ざいりょう)として用いられたりします。
      富良野市では汚泥を肥料として全て農地へ資源リサイクルしています。

2.下水道の効果(こうか)

下水道が整備(せいび)されると、さまざまな効果が表れます。

たとえば、今まで少しの雨で家が水につかっていたところが、大雨でも安心(あんしん)して暮らせるようになります。
また、汚れていた川がきれいによみがえり、サケやホタルがもどってきたという話も全国(ぜんこく)あちこちできかれるようになりました。さらに、下水道ができたおかげでその地域(ちいき)のイメージがよくなるなど、町づくりの上からも、下水道はとても役にたっているのです。

下水道の普及(ふきゅう)

1.世界の主な国の普及率(ふきゅうりつ)

下水道がどのくらいゆきわたっているかは、その国に住んでいる人のうち、どれだけの人が、下水道を利用しているかという割合(わりあい)(=普及率ふきゅうりつ)をみればわかります。
それでは、世界の主な国の普及率をみてみましょう。
日本では、下水道を使っている人は、5人に約4人(普及率80.6パーセント)です。
アメリカでは、4人のうち約3人、イギリスでは、ほとんどすべての人が、下水道を使っています。

日本の下水道はまだまだおくれています。イギリスなどで、ここまで下水道を広めるのに、150年以上の年月がかかっているのに対して、日本では下水道が各地(かくち)に広がり始めたのは、つい30年ほど前からです。
現在、日本でも、下水道を一生懸命(いっしょうけんめい)につくっていますが、イギリスのようになるまでには、まだしばらくの年月がかかります。

2.日本国内の普及率

日本全体では、80.6パーセントの普及率で、5人に約4人の割合で普及しています。
しかし、地域(ちいき)によって、ゆきわたりかたがずいぶんちがいます。

東京や大阪では、明治時代(めいじじだい)の中ごろから、利用され始めていますが、下水道がほとんど普及していない県もいくつかあります。普通(ふつう)、大きな都市ほど下水道はゆきわたっていますが、最近(さいきん)では、農村(のうそん)や、山村、漁村(ぎょそん)、自然公園(しぜんこうえん)の中でも、一生懸命につくられています。

3.富良野市の普及率

富良野市の普及率は、令和5年3月末現在で80.57%です。(行政人口比)

下水道をつくる

1.下水管(げすいかん)を埋(う)める

私たちの家から出る汚水(おすい)は、下水管を通(とお)って下水処理場まで運ばれます。
そこできれいな水になって、川や海に流されていきます。
そのためには、まず、汚水を運ぶ下水管(げすいかん)を、地面の下に埋めなければなりません。

私たちの家のすぐそばに埋められている管は、直径(ちょっけい)が約(やく)20センチメートルの管ですが、各(かく)家庭から出た汚水を集めて、下水処理場に運ぶ管は、3メートルぐらいの太い管になることもあります。
雨水を集める管にはもっと太いものもあり、大都市には、直径7メートルをこえるものもあります。
このような下水管は、道路の下にあみの目のように埋められており、それがすべて下水処理場までつながっています
下水管の長さを合計すると、たいへんな長さとなります。

2.下水処理場をつくる

下水処理場をつくるには、まず大きさや場所を決めて、そこに建物(たてもの)といろいろな設備(せつび)をつくります。各家庭から出る汚水は、下水管を通って下水処理場に集められるので、下水処理場の大きさは集まってくる水の量により決められます。
場所については、きれいにした水を放流しやすいように、川や海の近くにつくられます。
環境(かんきょう)への対策(たいさく)も十分に行わなければなりません。
まわりに悪臭(あくしゅう)がもれることがないようにします。

下水道を守る

1.下水管の検査(けんさ)と掃除(そうじ)

下水管が、十分にその役割(やくわり)を果(は)たすためには、定期的(ていきてき)に検査(けんさ)や掃除(そうじ)を行い、正しく管理(かんり)しなければなりません。

道路の下に埋められている下水管は、トラックなどによる振動(しんどう)や、電気、ガス、水道の工事などいろいろの原因(げんいん)によって壊(こわ)れたり、傾(かたむ)いたりすることがあります。
また下水管の底(そこ)に砂(すな)やどろがたまると、下水の流れが悪くなったり、下水があふれたりする原因にもなります。
このようなことが起(お)きないように、定期的に下水管を検査したり、掃除したりしなければなりません。

下水管の掃除は、大きな管の場合は、人間が入って行うことがありますが、人間が入れないところでは、高圧洗浄車(こうあつせんじょうしゃ)を使って下水管の中に水を勢(いきお)いよく流して、たまった砂やどろを押(お)し流し、下水管をきれいにします。

2.下水処理場の管理

私たちが使って汚れた水は、下水管を通って下水処理場に集められ、きれいにされますが、下水処理場の管理が正しく行われなければ、川や海はきれいになりません。

このため下水処理場では、「エアレーションタンク」などいろいろな施設(しせつ)を上手(じょうず)に動かすことはもちろん、機械(きかい)の点検(てんけん)や、整備(せいび)を行っています。
また、水がきれいになったかどうか、処理水の水質(すいしつ)の検査をきちんと行っています。

3.下水道の正しい使い方

せっかく、下水道がつくられても、これを正しく大切に使わなければ、私たちの生活にほんとうに役立つことにはなりません。
そのため、守らなければならないことがいくつかあります。

まず、下水道が設置(せっち)されると、3年以内にくみ取り式トイレを水洗(すいせん)トイレにかえなければならないことになっています。
これは、たとえ一軒(いっけん)の家でもくみ取り式トイレのままだと、ハエなどのすみかとなったり、臭(くさ)いにおいが出て、その家だけでなく近所の家にもめいわくをかけることになるからです。

次に、下水道を使うときに、注意しなければならない事があります。
たとえば、水洗トイレでやわらかい紙以外ものもを流したり、台所から、ごみや油を流してはいけません。
それは下水管がつまる原因となるからです。
特(とく)にガソリンなどは、下水管の中でばく発する危険(きけん)があり、絶対(ぜったい)に流してはいけません。雨水が流れるみぞや、ます(管のつなぎ目に取りつけられたはこ)も、ごみや砂でつまらないように気をつけなければなりません。
また、工場から出される汚水(=工場排水こうじょうはいすい)の中には下水管をきずつけたり、下水処理場では取り除(のぞ)けないような成分(せいぶん)が含(ふく)まれていることがあります。
たとえば、下水管を溶(と)かしてしまう水や私たちにとって有害(ゆうがい)な物質(ぶっしつ)は、下水処理場で取り除くことができません。

したがって、工場から下水管に流す前に工場で取り除くための施設(しせつ)(=除害施設じょがいしせつ)をもうけて、下水管に流さないことが、決められています。
このように、いろいろのきまりを守り、下水道を正しく大切に使うことによって、私たちの町は美(うつく)しく住みよくなり、川や海はきれいになるのです。

下水道のいろいろな使われ方

下水道は、家から出てくる汚れた水やまちに降った雨を集めてきれいにすることで、きれいになった水(=処理水しょりすい)と、水中の汚れを集めた汚泥(おでい)にわけます。
この処理水と汚泥は、じつは私たちの身のまわりのいろいろなところで使われていて、わたしたちの役に立っています。
また、下水をきれいにする場所である処理場(しょりじょう)や、下水を処理場まで運ぶ下水管は、うまく使うことで私たちの生活を便利(べんり)で豊かにすることができます。
ここでは、このような下水道のいろいろな使われ方について、勉強してみましょう。

  1. 処理(しょり)水を使う
    • 下水道できれいになった水は、公園の噴水(ふんすい)や池の水として使われ、みんなの気持ちをなごませてくれます。
      また、新幹線(しんかんせん)や列車を洗う水や、道路の雪をとかす水にも、下水道のきれいな水が使われています。
  2. 汚泥(おでい)を使う
    • 汚泥は燃やして固めることで、レンガやタイルになり、道路や家を造るのに使われています。
      また、燃やさないでくさらせ、肥料(ひりょう)にして畑にまいたりしています。
      富良野市では全て肥料にして農作物(のうさくもつ)の生長(せいちょう)に役立てています。
  3. 冷房(れいぼう)・暖房(だんぼう)に使う
    • 下水道の水は、外の空気に比べて夏冷たく、冬温かいことから、冷房や暖房の熱の交換(こうかん)に使われています。
  4. 電気(でんき)をつくる
    • 汚泥をくさらせると、途中(とちゅう)でガスが出てきます。
      このガスはとても燃えやすいので、集めて燃やし、電気をつくることができます。
  5. 処理場(しょりじょう)の上を使う
    • 処理場をつくるには、とても広い場所が必要ですが、処理場だけに使うのはもったいないので、処理場の上に公園や体育館をつくったりしています。
  6. 下水管を使う
    • 下水管はみんなの家とつながっています。
      そこで、管の中に光ファイバーというたくさんの情報(じょうほう)を流すことのできる線をつけ、みんなの家のパソコン同士をこの線で結ぶと、パソコンでいろんなやりとりができるようになります。

考えてみよう下水道と私たちのくらし

今日(こんにち)、私たちが健康(けんこう)で快適(かいてき)な生活をするために、下水道はなくてはならないものになっています。

大きな都市では、下水道はかなり広まっており、多くの人によって使われていますが、地方の小さな都市や、農村、山村などでは、まだまだ、ゆきわたっていません。
こういうところでは今、たいへん多くの人びとが、下水道を望(のぞ)んでいます。
これからは、どんなところでも下水道が利用できるようにしなければなりません。

下水道をつくるためには、多くの人びとの労働力(ろうどうりょく)と、たくさんのお金がかかります。下水道工事がうまくいくように、私たちも協力(きょうりょく)する気持ち(きもち)が必要(ひつよう)です。
また、いくら下水道ができても、正しく使わなかったり、川や海にごみなどを捨(す)てていたのでは、川や海はいつまでたってもきれいにならず、魚もすめなくなってしまいます。
日ごろから、下水道を大切に利用すること、また、川や海をきれいにしようという心がけが大切です。
水は、自然の大きなめぐみです。大切に使わなければなりません。

きれいな水がいつまでも使え、身のまわりに水のある快適な環境を守っていくためにも、水を大切に使い、また、下水道を上手に使うことが大切です。限(かぎ)りある自然を大切にしましょう。

下水道について、いろいろ勉強してきましたが、私たちが生活していくうえで、下水道の果(は)たす役割(やくわり)がどんなに大切か、わかりましたか。産業(さんぎょう)が発達(はったつ)し、私たちの生活が豊(ゆた)かになっていくにつれて、下水道の役割もどんどん大きくなっていきます。
下水道がなければ、私たちは快適(かいてき)な生活をすることができません。

下水道がゆきわたり、私たちが健康(けんこう)で快適なくらしができるように心がけることが大切です。また、下水道の正しい使い方や、水や汚泥(おでい)の再利用(さいりよう)のしかたについて、みんなで考え、意見(いけん)を出しあってみましょう。

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