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1章・富良野市のまちづくり

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1章 富良野市のまちづくりと中心市街地の位置づけ

1.富良野市のまちづくり

(1) 位置

富良野市は、東経142度23分13秒、北緯43度20分22秒を市域の中心として、北海道のほぼ中心に位置する「へそのまち」である。
富良野市への交通アクセスは札幌市からは国道12号・国道38号を利用して約150キロメートル、旭川市からは国道237号を利用して約60キロメートル、帯広市からは国道38号を利用して約120キロメートルとなっている。

(2) 沿革

富良野市の歴史は大きく明治期、戦中、昭和後期の3期に分けられる。

  • 明治期:入植と鉄道開通
    • 明治30年から入植が始まる。明治33年に旭川から下富良野間に鉄道が敷設し富良野を含め周辺市町村が発展する。大正2年には滝川から下富良野間の鉄道も敷設され、旭川・滝川・帯広方面をつなぐ拠点としてめざましい発展をとげる。
  • 戦中:石綿生産の開始
    • これまで、タマネギ・ニンジンなどの重量野菜を中心とした農業を行っていたが、戦時中は軍需物資である石綿の生産が行われた。一時は石綿生産に携わる人が家族を含め2,000人以上もいたが、終戦により石綿の生産が衰退し、再び農業が主要産業として展開され始めた。
  • 昭和後期:スポーツレクリエーション等滞在型リゾート地の発展
    • 終戦以降、農業都市として順調な発展をみせてきたが、昭和50年「第30回冬季国民体育大会」、昭和52年「FISワールドカップスキー大会」が開催され 「スキーのまち」として世界的に有名となる。また、昭和56年ドラマ「北の国から」の舞台となると、夏にも観光客が訪れるようになり、北海道の代表的な観 光地として発展し現在に至る。

(3) 気象

富良野市は周囲を富良野岳などの山々に囲まれた富良野盆地であるため、一日の寒暖差や一年の寒暖差が大きい大陸性気候となっている。
平成10年の平均気温は6.4度、最高気温は30.6度、最低気温は-29.9度、年間降水量1312ミリメートルは、最深積雪は65センチメートルとなっている。

(4) 人口、世帯数

国勢調査によると平成12年10月1日現在の人口は26,112人9,882世帯となっている。
第1回調査が行われた大正9年には16,206人だった人口が昭和40年には36,627人にまで増加した。しかしながら、その後人口は減少し、平成12年にはピーク時の7割となる26,112人にまで減少した。ここ数年は、人口が横ばいもしくは微増となっている。
一方、世帯数については、第1回調査以降年々増加し、平成12年の世帯数は第1回調査時の約3倍にまで増加している。このため、世帯当たり人員は第1回の5.27人から2.66人まで減少している。核家族化が進行しているといえる。
年齢別人口について、65歳以上の老齢人口をみると昭和60年以降急激に増加し、昭和60年で3,311人(11.9%)であったが、平成7年では4,620人(17.7%)となっており、北海道の平均と比べて高齢化が進行しているといえる。
一方生産年齢人口や幼少人口減少しており、昭和60年でそれぞれ18,813人(67.5%)、5,752人(20.6%)が平成7年では17,032人(65.4%)、4,394人(16.9%)となっている。

表 富良野市の年齢階級別人口の推移の画像

(5) 産業

富良野市の産業は、複合経営を主体とした農業と、年間200万人を超す観光客に対する観光・サービス業などの第3次産業が中心となっている。

(6) 販売額等

商業統計によると、昭和60年で、小売販売額は364億円、売場面積は29,845平方メートル、1店当たりの売場面積は79平方メートル、従業者数1,698人が平成9年ではそれぞれ465億円、36,408平方メートル、111平方メートル、1,835人となっている。

(7) 商圏

「北海道広域商圏動向調査報告書(平成4年3月)」によると富良野市の商業は旭川広域商圏のひとつである富良野中小商圏(1市2町)に属し、1次商圏は富良野市、2次商圏は中富良野町、南富良野町となっている。

(8) 土地利用

富良野市の行政区域面積は600.83平方キロメートルあり、このうち山林が426.93平方キロメートルと全体の71.0%を占めており、宅地は8.92平方キロメートル、1.6%となっている。行政区域の内、都市計画区域2,227.0ヘクタールタール、用途地域565.2ヘクタールタールの指定が行われておりそのうち、用途地域の指定状況は、住宅系が426.2ヘクタールタール(75.4%)、商業系25.0ヘクタールタール、(4.4%)、工業系114.0ヘクタールタール(20.2%)となっている。

(9) 都市施設

都市計画決定された都市施設として、都市計画道路(15路線21,400メートル)、都市計画公園(30ヶ所30.27ヘクタールタール)、公設卸売市場(1ヶ所0.8ヘクタールタール)等がある。(平成5年度現在)

(10) 交通

  1. 鉄道
    • 富良野市内にはJR根室本線・富良野線があり、JR富良野駅の乗客輸送数は、平成10年で353,802人となっている。
  2. 道路
    1. 富良野市は、国道38号、237号を骨格に道道、市道等によりネットワークされている。
  3. バス
    1. 富良野バスが運行しており、市内、富良野市から旭川市・旭川空港が結ばれている。また、富良野市から占冠村(占冠村営バス)、富良野市から札幌市(中央バス)を結ぶ路線がある。

(11) 関連計画

  1. 「ふらの新時代をひらく」富良野市総合計画(平成13年度から平成22年度)
    • めざす都市像
      快適な環境、創造性豊かな人を育む『協同・感動・生き活きふらの』
    • 中心市街地に関する基本的な発展方向
      市民をはじめ各種団体の協力を得ながら区画整理事業・再開発事業などの導入により地区都市環境の改善と街なか居住など市街地整備改善を図り、魅力を高め、 活力と賑わいのある中心市街地の形成を図る。また、商店街については商工会議所、商店街、消費者などが連携して活性化を図る。
  2. 都市計画マスタープラン(平成10年度から平成29年度)
    • 富良野市の将来市街地像:まちごと公園に向けて
      市街地全体が周辺の恵まれた自然環境と調和したひとつの公園
    • 地区整備のテーマ「活気のあるまちづくり」
    • 地区の整備方針と柱
  3. 富良野市市街地総合再生基本計画
    • 地区の位置づけ:交流のまちの中心舞台
      富良野市の市民、商業者、生産者、観光客等が互いに交流する中心拠点
    • 地区整備の基本目標
      • 交流が活発に行われ、地域全体の活性化を支えつつ、安心して人が住めるまち
      • 人と車に対応し、歴史や文化の香る、うるおいのある地区環境
      • 行政・市民・商業者のパートナーシップによる段階的なまちづくり
    • 地区整備の基本方針
      • 商店街の魅力を高める・多様な住空間とふれあいのある住宅環境を創出する・まちづくりを支える新たな機能を導入する・広域からのアクセス性を高め る・歩いて楽しいヒューマンスケールの環境創出を図る・観光拠点としての魅力を高める・富良野らしさを感じられる景観の形成
    • 地区再生へ向けたシナリオ
      • 短期
        • JR富良野駅周辺の複合機能拠点の整備・歩いて楽しい拠点の道路環境の整備
      • 中期
        • 相生通・五条通商店街の整備・歩いて楽しい拠点の整備・JR線東西の連絡道路の整備・地区導入拠点の整備

2.中心市街地の位置づけ

富良野市の中心市街地は、JR富良野駅を中心として形成された商店街の周辺に住宅地が広がり、各種公共施設が集積している地域である。
本地域では、市民生活に関わる様々な居住・商業・行政・文化活動が展開されるのみならず、周辺都市も含めた広域的なエリアを対象とする交流・商業・行政・文化の中心でもある「まちの顔」であった。
しかしながら、車社会の進展、大型駐車場を備えた郊外型大型店の増加、買物形態の変化等により中心市街地における人・物の流れが急速に変化してきており、特に商業機能の質的変化などの対応が急務となっている。
また、本地区は富良野市及び周辺地域全体の産業の振興拠点としての役割が求められている。
特に、基幹産業である農業や観光において広域的な取組みが展開されている中で、地域の交流の中心である本地区にその拠点機能を持たせることが産業振興上有効である。
さらに、経済波及効果の大きい地域内循環型の産業構造づくりの機能を持たせることが、今後の中心市街地の役割として重要である。
具体的な取組みとしては、特産品の販売宣伝啓発、秋の観光宣伝啓発等を目的としたふらのワイン・ぶどう祭りや感動市場等の会場として、農産物の加工・流通・販売を含めた高付加価値化の実践拠点となったり、周辺地域全体の観光情報の発信拠点となることを想定している。
さらに、富良野市の中心市街地において新たな農業や観光産業の展開を図ることは、市のみならず、広域や北海道の産業活性化に対するインパクトを有するモデルとなり得ると同時に、広域市町村圏を対象とした経済、教育、文化、医療・福祉、情報、交流等の機能強化を図ることにより、広域行政化が進む中での広域中 心拠点として位置づけられることも期待される。
以上のことから、富良野市の中心市街地は、富良野圏域の"広域から市域にいたる居住・交流・産業・行政・文化の中心"として位置づけられる。

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