「市町村合併を考える講演会」発言要旨

2005年9月8日

日時:平成14年8月7日(水)18時~200時
場所:富良野文化会館大会議室
出席者:151名


主催者挨拶 富良野市長 高 田 忠 尚      

  21世紀を向かえ、これまで発展を支えてきた社会経済システムは急激に変わろうとしている。
  少子・高齢社会、情報化社会、国と地方の財政危機のなか、住民に身近なところで行政サービスを提供する市町村は、将来、なんらかの形で「変化をしていかなければならない」時代が来る。
  道内市町村における平成14年度普通交付税の配分は、対前年比6.9%減、富良野市では7.1%減など、大変厳しい財政運営が強いられている。
  国は全国で3,200余りある市町村を3分の1程度に統廃合することを当面の目標として、市町村合併を推進している。
  今、なぜ市町村合併なのか。
  合併しなければどのようなことが起こるのか。
  合併すれば何がどう変わるのか。
  合併は住民にとって本当にメリットがあるのか。
  本日は、山﨑室長様からその辺のお話を伺い、現在動いている合併問題の本質をつかみ、望ましい地域の将来像を議論していく必要がある。
  改正合併特例法では、平成17年3月までに合併すれば、財政面で様々な優遇策が設けられている。
  その時まで、何も考えず漫然と時を過ごすのか、合併するにしろしないにしろ、今、このような時期にそれぞれが意思を持って判断をする必要がある。
  市町村合併は、そのまちに暮らす住民にとって、生活を左右しかねない大変重要な問題であり、住民が主体となって住民の意思による判断が尊重されなければならない。
  そのためにも、市町村合併は「みんなで自分の住む地域・まちを見つめなおし、これからの地域づくり・まちづくりを考える」絶好の機会でもある。
  本日の講演会は「これからの地域がどうあればいいのか」を考える一つの糧になればと考えている。
  是非ともこれから、沿線5市町村がしっかり連携するなかで地域の発展を議論していきたい。


演題 「地方分権と市町村合併について」
 総務省自治行政局行政体制整備室長 山 﨑 重 孝 氏

  総務省の行政体制整備室では、市町村合併を推進するほか、行政改革や行政評価の業務を担っている。
  合併の話がここにきて全国的に盛んになっているが、北海道内では動きが芳しくない。
  平成7年にできた合併特例法を作る時の担当課長補佐をしており、平成11年に作った地方分権一括法では、行政局の理事官として全体の総括をしていた。平成11年8月から今年の3月まで、5市合併をした北九州市の財政局長をしていた。
  自分の過去の体験から今までどんなことが行われてきたのか、これからどうなるのかをお話していきたい。
  市町村合併議論を進めていくうえで、地方分権、構造改革、少子高齢化の3つのキーワードを頭に置きながら説明を聞いていただきたい。

●地方分権について
 私が自治省に入った昭和58年には、地方の時代という話もあったが、全国的に地方自治・地方分権という話にならず、国政の重要課題ではなかった。
  平成5年に衆議院と参議院とで地方分権を推進する決議があり、このあたりからいろんなことが起こった。
  今の合併特例法の前進は昭和40年にできたものであり、「市町村が自主的に合併を決めたならば、その障害となるものを除去しよう」と合併に対して国はニュートラルな立場であった。
  平成7年に合併特例法を作ったとき、経済が悪くなるとか、税収が上がらなくなることは予測していなかった。
  これから地方分権を進めていくためには、市町村が強くならなければならない。そのためには今までと同じように合併に関して中立な法律ではいけない。
  市町村合併をもう一歩進めるためには、法律の趣旨を「自主的な合併を推進する」ということに変え、「地方分権のために合併を進める」ことを明らかにした。
  昭和28年から昭和36年までの昭和の大合併では、新制中学をつくるために最低人口規模8,000人を目標に行われたが、その結果、周辺部分になった旧町村の地域が寂れてしまったというご批判があった。
  このため、平成7年の改正では、「合併はいいまちづくりをすることであり、合併したところが共に繁栄していけるようなまちづくりにする」ための法律とした。
  そのため、合併する前に様々なことを徹底的に議論できる場(法定合併協議会)を設定することを明らかにした。
  いいまちをつくるためには、どんな仕事をするのか。そのためにはお金がいる。単独事業を支援する地域総合事業債や合併算定替(交付税の経過措置)、など国は財政的援助をすることとした。
  これが平成7年の合併特例法であり、地方分権の第一弾である。
  地方分権推進委員会の議論では、国と道、道と市町村は上下・主従関係から対等・協力関係に変えることを方針に掲げ、都道府県の事務の7割、市町村の事務の5割を占める機関委任事務を廃止した。
  このことにより、国から道、道から市町村への関与のルールを決め、さらに審判員(国・地方係争委員会)もつくった。審判員に納得できなければ高等裁判所に訴えることもできる。
  当初、地方分権を進めるうえで、小さな町村に権限を与える受け皿の議論は避けた。
  まずは、都道府県で権限や関与を受け止め、準備ができた政令都市や大きな都市から権限を移し分権を進めていくスタンスであった。
  しかし、もっと地方分権を進めていくためには「住民に身近な所で仕事をする市町村が、仕事をどう決めるかが地方分権ではないか」という議論になった。
  地方分権は、市町村が政策をたて、国をみるのではなく住民の方をみることである。
  平成11年に改正した合併特例法は、市町村を強くするため更に財政的援助をすることとした。
  これは、合併特例債(事業費の95%が借金そのうち70%が交付税バック)、や合併算定替の10年間補償など、平成17年3月までの期限内に「新しいまちを作るために勇気を持って踏み込んだ」ところに対して、相当手厚い財政措置を国は用意した。
  合併議論に関する北海道の盛り上がりは、府県に比べ1年遅れている。
  合併協議会での議論は標準的に22ケ月かかるといわれているため、本年度中に法定合併協議会を設置していただきたい。

●構造改革について
 国・地方合わせて700兆円の借金があり、この赤字をどう支払っていくか、また、借金に頼らずどう運営していくかが課題である。
  この借金は、バブル崩壊後、経済をまわすために内需拡大を図ったためである。
  これからの市町村は財政的に自立することが必要である。
  富良野市は市税だけで仕事をしているわけではなく、自由に使える地方交付税がある。
  地方交付税は標準的に富良野市で仕事するのにいくらかかるか算定(基準財政需要)し、市税収の見込みの差額を国が交付している。
  どこの市町村でも一定水準のサービスを保てるのは、地方交付税があるからである。
  地方交付税は本来法律で額が決まっており、12兆円しかない。ところが、実際19兆円以上配っているため、7兆円は借金である。
  小規模町村における地方交付税の割増率は高すぎると批判を浴びており、交付税の根幹を守るよう割増率の見直しをしている。
  また、地方交付税は市税収見積もりの75%しか算定していないため、都市部からの批判により、留保財源率を上げる方向で議論している。
  税収が上がらない市町村はこれから厳しくなる。国は、都市的行政需要に対応するよう考えている。
  地域総合整備事業債も「市町村の意思決定をおかしくしてしまった」と批判を受けている。今後は箱物を対象としない。借金の交付税バックを5割から3割にした。
  国税と地方税は3:2であるが、仕事は2:3となっている。片山総務大臣は税収を1:1にし、国庫補助金5.5兆円減らし地方にまわすなど税、補助金、交付税の「三位一体の改革」を提案した。
  これからの市町村は税が上がる自治体をつくる必要があり、自分の税金を自分でどう使うか考える必要がある。

●少子高齢化について
 現在の出生率は1.33であり、2006年から人口の減少期に入るため、2030年の全国の人口は1995年より-6%減少する。
  高齢社会のセーフティーネットをどうしておくか考えておかなければならない。
  介護保険による公平公正なサービスの提供は市町村だからできる。そのときに、介護をする人材をどう結集するか課題である。

●合併のメリットについて
 小さな役場にはたくさんいい人材がいるが、一人で4役5役の仕事をしている。合併により人材を結集し、役割分担で一人1役、2役できるようになれば、職員はより専門的で高度な仕事に取り組むことができる。
  小さな町村では、歳出規模が少ないため自分たちの手の届く範囲の事業しかできない。合併により財源を結集して、各地域に重点的な投資が可能となる。
  人口2千人で一人当たりの歳出額が150万円、10万人で30万円といわれており、小さな町村ほど行政経費がかかる。人口がある程度大きい方が固定的な経費が下がり、施設の重点配置も可能で効率がよい。

●合併のデメリットについて
 合併によって起こるデメリットを早く察知して、そのことをどう乗り越えるか議論する必要がある。
  Q 役場が遠くなって、今までより不便になりませんか?
  旧役場の位置に支所を置き、地域振興に必要なサービスをどうするか議論が必要である。
  郵便局を窓口サービスとして利用することも検討する必要がある。

  Q 中心部だけがよくなって、周辺部が寂れませんか?
  合併協議のなかで、周辺部が一方的に寂れないよう徹底的な議論をすべきである。

  Q 住民の声が届きにくくなって、サービスのきめ細やかさが失われませんか?
  市役所が住民の声をしっかり聞いて、どういうふうに政策が立てられ、実行できるかにかかっている。

  Q各地域の歴史、文化、伝統などが失われませんか?
  どう失わないように議論して、どれだけ大切にできるかは、市役所の気迫と市議会議員の思いにかかっている。

●質疑応答

 【質問】
  小規模町村を基礎自治体として認めない議論はどうなっているのか
【回答】
  小規模町村では地方交付税が減額されるため、今までのようなフルセットの行政サービスを担うことはかなり厳しくなる。小規模町村をどうするかの議論は、現在、地方制度調査会で行っており明年10月までには結論を出す予定である。
 【質問】
  合併により地方債は、整理機構を立ち上げ一括繰上償還することが可能か。
 【回答】
  国は起債管理機構などを立ち上げる考えはないが、公債費負担格差是正などの包括的な交付税の措置で支援する。借金の棚上げはできない。
 【質問】
  合併のメリットのなかで、地域の産業経済活動はどうなるのか、また、どんな可能性があるのか
【回答】
  地域の産業政策・経済政策は市役所でなければできない。市役所が政策能力と実行力を高め、この地域の産業がどうなるかを第1に考えれば、地域間競争のプレーヤーになれる。人材と財源を使って地域の産業をどう発展させるか、自分たちで考え勝負にでる。産業政策ができる市役所になることが地方分権社会では必要である。

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